仏様の持ち物チェック③明王様

  • 2022/10/20
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お寺にお参りすることで出会えるのは、仏様のお姿をした仏像たち。
如来さま、菩薩さまはもちろん、時に怒っているような厳しいお姿を見せてくださいます。

仏様たちは、手に様々な道具を持っています。
それらを、「持物(じぶつ、じもつ)」といいます。

「何か持っているな…」とスルーしてしまっては、もったいない!
その持物に、深い意味が隠れていることもあるのです。

仏様たちが持つ持物を見ていくこの企画。
今回は、明王様たちが持っている物をチェックします。
道具の中でも、武器を持つことの多い明王様。
その奥に見える、ありがたい仏様のお気持ちを探っていきましょう。

正しい方向へと導いてくれる「弓矢」

明王様は、密教で信仰されている仏様であり、怒りで衆生を導くといわれています。
また、如来様が変化したお姿だともいわれています。

そんな明王様たちが手には、武器を持たれていることが多いです。

例えば、「弓」です。
弓を持っていることで有名なのは、愛染明王(あいぜんみょうおう)です。

愛染明王は、愛欲煩悩の炎で体が赤くなっており、そのお体全体で愛と情熱を伝えているお姿でもあります。

悟りを得るためには、煩悩を手放すことが必要だと教えたお釈迦様の教え。
しかし、愛欲を捨てることは、簡単ではありません。

密教では、愛欲を否定せず、その欲を悟りを得るためのエネルギーに変えようと考えます。
そのサポートをしてくださるのが、愛染明王なのです。

愛染明王様は、「弓矢」を持っています。
弓は智慧、矢は方便を表します。

明王様が持つ矢は、敵を射抜くためのものではなく、正しい方向へと導いてくれるもの。

欲に振り回されて苦しんでも、きっと明王様が正しい道へと背中を押してくれるはず。
弓矢を持つ仏様に会うと、まるで励まされているような気持になります。

その硬さで煩悩を打ち砕く「金剛杵」

次にご紹介するのは、「金剛杵(こんごうしょ)」です。

金剛杵は、両端に鋭い刃がついた武器で、インドから伝わったものです。
また、その刃の数によって、独鈷杵(とっこしょ)・三鈷杵(さんこしょ)・五鈷杵(ごこしょ)と呼び名が変わります。

金剛石(こんごうせき)とはダイヤモンドのことですが、金剛杵がダイヤモンドのように硬いことから、この名前が付いたとされています。

そして、この硬さで、煩悩を打ち砕くとされています。

明王様たちのアイテムである金剛杵ですが、その中でも金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)が持っているのは有名です。

金剛夜叉明王は、インドの人食い鬼でした。
しかし、大日如来に出会ったことで、明王へと生まれ変わったといわれています。

金剛夜叉明王は、金剛杵を持って煩悩を打ち砕いてくれます。
勝負に勝つためには、まずは煩悩に負けないこと。
そのため、戦勝祈願をする仏様として信仰を集めてきました。

鬼から明王へと生まれ変わった金剛夜叉王が、人々の迷いを打ち砕く。
自身がその苦しみを乗り越えたからこそ、人々を厳しく、さらに優しくサポートしてくれるのかもしれません。

煩悩を断ち切り穢れを祓う「斧」

最後にご紹介するのは、「斧」です。

私たちは、斧といえば木を切る道具だと思いますが、この斧を武器として持つ明王様がいます。

それは、軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)です。
軍荼利明王は、8本の手を持ち、その手の一つに斧を持っています。

明王様が持つ斧を、鉞斧(えっぷ)といいます。
鉞斧は、煩悩を断ち切るために使われるものであり、福を呼ぶアイテムでもあるそうです。

日本では、障碍(しょうげ)という考え方があります。
これは、物事の発生・持続を邪魔するもの、目に見えない力に邪魔されるという意味があり、一部には、人間の愚かな行いにより障碍を起こす仏様もいらっしゃいます。

軍荼利明王は、その障碍から守ってくれる明王様でもあります。

斧で「断ち切る」という行為は、穢れを祓うこと。
様々な穢れから、私たちを守護してくれている、とてもありがたい存在なのです。

恐ろしい姿の中に見る「優しさ」

今回ご紹介した明王様たちは、普段は恐ろしい姿で私たちの前に現れます。

しかし、それぞれが持つ持物を見ていくと、明王様たちの広い心や優しさを感じることができます。

仏様の持物には功徳があり、それらにちなんだアイテムを持つことが開運アクションになることもあります。

もし、仏様が持つアイテムが気になったら、一つひとつ調べてみてください。
きっと、今あなたが苦しみから抜け出したいと思っていたなら、そのヒントを与えてくれるはずです。

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