疫病退散!どの神様にお願いする?

  • 2022/11/12
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2020年から感染拡大している新型コロナウイルス。
もちろん、世の中にあるウイルスや感染はコロナだけではありませんが、新型コロナウイルスの脅威が私たちの生活に変化を与えたことは否めません。

そんな中、「疫病退散」に関するご祈祷やお参り、ゲン担ぎも注目されました。
初めての経験に戸惑い、神頼みをすることしか方法が思いつかないという人もいたでしょう。

そこで今回は、疫病退散のご利益があるといわれている神様たちをピックアップし、「あん・はな」的にご紹介したいと思います。

海に現れた、未来を予測する予言獣「アマビエ」

最初にご紹介するのは、コロナ禍ですっかり人気者になった「アマビエ」です。
「あん・はな」でも、アマビエグッズを購入していく人は少なくありません。
すっかり、一つのムーブメントになりましたね。

アマビエは、妖怪です。
疫病封じの力を持ち、江戸時代に肥後国(現在の熊本)の海上に現れ、疫病だけでなく農作物の豊作に関しても予言したとされていました。

よくみる原型とされるイラストは、江戸時代後半に瓦版に掲載されたものなのだとか。
今は、可愛くアレンジされたり、すっかりキャラクター化しています。

アマビエは、長髪の髪を持ち、鳥のようなくちばしと、魚のようなウロコを持つ姿、三本の足を持っています。未来の予言をする妖怪であるとお伝えしましたが、そのような妖怪を「予言獣」といいます。

海に現れたアマビエは、ある予言をします。
それは、これから6年間は豊作だけど、病も流行るというもの。
そのため、自分の姿を描きうつし、人々に見せるようにと伝えました。

このエピソードが、新型コロナウイルス感染拡大時に流行った際に、アマビエのイラストを投稿する「アマビエチャレンジ」に繋がったのだと考えられます。

人々を救うため、自ら鬼の姿になった「角大師」

次にご紹介するのも、新型コロナウイルスの感染拡大によって、さらに認知度が高まった「角大師」です。

こちらも、神様というよりは、平安時代に最強の護符とされてきた「角大師護符」に描かれていた絵なのですが、実在した僧をモデルにしたとされています。

しかし、見た目は僧というよりも、鬼に近いような…
この絵を見て、正直怖いと感じる方も、少なくないのではないでしょうか。

そもそも、「角大師」とは、どんな人なのでしょうか。
角大師は、平安時代の僧・元三大師・良源(りょうげん)のことです。

滋賀県にある比叡山延暦寺にゆかりが深く、「延暦寺中興の祖」として今も信仰を集めています。
延暦寺の宗派である天台宗では長い間、角大師護符が授与されてきました。
角大師は、病魔・悪魔を寄せ付けない力を持ち、そのご利益から一切の災厄から逃れることができると信じられてきたのです。

鬼のような姿なのは、ある疫病が流行った時の良源様のエピソードから。
人々を疫病による苦しみから救うため、良源様は大きな鏡に自分の姿を写しました。
そして、禅定に入ったところ、鏡に映った姿がみるみるうちに鬼の姿になっていきます。
その姿を弟子に描きうつさせ、その絵を護符として刷って配らせ、各家の戸口に貼らせたところ、疫病に限らず、一切の災厄から守られたといいます。

つまり、この鬼のような姿は、人々を救おうとする良源様のお姿。
そう思うと、怖いはずの護符に描かれた姿が、優しく見えてくるから不思議です。

皇帝の命も救った学業の神様「鍾馗」

最後にご紹介するのは、道教の神様として信仰されてきた「鍾馗(しょうき)」
中国の民間伝承に伝わる神様です。

「鍾馗」と言われてもピンとこない方が多いかと思いますが、端午の節句で飾る五月人形、旗や凧、掛け軸などで、鍾馗様の顔を見たことがあるかもしれません。

鍾馗様が、中国から日本に伝わってきたのは平安末期のこと。
鍾馗様の図像を飾ることで疫病除け・魔除けの効果があるとされていて、人々は旗や掛け軸に鍾馗様のお姿を描くようになりました。

中国が「唐」だった頃、当時の皇帝・玄宗は、高級官吏を選ぶ試験を行います。
そして、1番という優秀な成績で合格した鍾馗を、「人相が悪い」という理由で落としてしまったのです。鍾馗は、体が大きく、髭を生やしていたといいます。鍾馗様は傷心のため、自ら命を絶ってしまいます。
その後、玄宗皇帝は病に伏します。寝ていると、夢に鬼が現れたのですが、その鬼をある大男が退治してしまったのです。その大男は夢で、自分は鍾馗であると名乗りました。
夢から覚めた皇帝は、すぐに絵師に呼び、鍾馗の絵を描かせたといいます。

このような話から日本では、江戸時代・延宝三年(1675)に疫病が流行った際、鐘馗霊神の絵を奉納すると疫病の流行が止まったため、鍾馗は疫病退散の神様として信仰されるようになりました。

ちなみに、鍾馗様は、学業の神様としても信仰されてきました。
受験を控えている方、病に伏さず、万全の状態で受験に挑みたい方が、鍾馗様にお祈りしてみるのもいいかもしれませんね。

疫病退散のカギは…絵にあり!

ここまで、疫病退散に関する神様と、3つのエピソードをご紹介しました。

面白いと思ったのは、どのエピソードにも「絵」が出て来ることです。
疫病退散の祈りを込めて、描いた絵を護符として使う。

形は違うかもしれませんが、現代のSNSのような動きが、過去では「絵を描く&貼る」という行為だったのではないでしょうか。そう考えると、今よりも、もっと大変だったと思います。

今は、とっても便利な時代です。
絵を描いて、SNSを使えば、その絵を比較的簡単に世に広めることができます。

でも、こんなご時世だからこそ、神社やお寺、それぞれの神様にゆかりのある場所へ足を運んでみませんか。それぞれの場所で感じたこと、思ったことを絵に描く、もしくは文章にする、誰かに伝えるだけで、もしかしたら世の中の疫病を退散させる足掛かりになれるかもしれない、「あん・はな」はそう考えています。

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