「氏神・産土神・鎮守」へのお参りで、心をもっと豊かにする!

  • 2021/8/17
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日本には、たくさんの神社があります。

その中で、
「自分に合った神社は、どこ?」
「パワースポットで有名な神社は?」
「どこの神社で、ご利益がもらえる?」
などの質問を受けることがあります。

いろいろご紹介したいところはあるのですが、そのような質問を受けた時には、逆にこう質問をさせてもらいます。

「氏神(うじがみ)様には、お参りされましたか?」

この質問をすると、氏神様をお参りしていない方、何なら氏神様を知らない方もいらっしゃるのに驚きます。
また、「氏神様って、自分の住んでいる土地の神様でしょ?参拝しましたよ!」という方には、このような質問をしてみます。

「産土神(うぶすながみ)様には?」
「鎮守(ちんじゅ)様は?」

ここで、本当に神社が好きな人は、やはり氏神様・産土神様・鎮守様、全てにお参りしています。

今回は、そんな氏神様・産土神様・鎮守様について、考えていきたいと思います。

地域とのご縁をつなぐ「氏神」(うじがみ)

まずは、一番よく聞く「氏神様」です。

氏神様とは、その地域ごとに祀られている神様のこと。
その土地を守ってくれている神様のことです。

「氏」といえば、「氏族」という言葉があります。

氏族は、血縁関係に限らず、共通の氏神様を祖先として崇敬しながら、ともに生活してきた集団のことであり、古代で使われていた生活の単位でもあります。

氏族が拠点としていた土地には、氏族の祖先でもある氏神様が祀られていて、それが氏神神社となっていきました。

今でも「氏子」(うじこ)という言葉が使われていますが、氏子は氏神様を信仰する人たちのこと。
今も、氏子さんたちが大切に守っている氏神神社が、各地に数多く存在しています。

氏神様を祀る神社は、先ほど説明したように氏族の祖神を祀っています。
例えば、藤原氏であれば祖先神は天児屋根命(あめのこやねのみこと)、物部氏であれば祖先神は饒速日命(にぎはやひのみこと)のことです。そのような神社の場合、由緒には「〇〇氏の祖神を氏神として祀る」「〇〇氏の氏神神社として信仰」などの記載が見られたりします。

また、直接の祖神ではないものの、それぞれの氏に由緒のある神様が祀られている場合もあります。
藤原氏に縁のある神社であれば、鹿島神宮に祀られている武甕槌神(たけみかづちのかみ)・香取神宮に祀られている経津主神(ふつぬしのかみ)が祀られているなども、そのケースです。

ただ、自分がどの氏族の末裔で、祖神がどのような神様なのかを辿っていくのは簡単ではありません。
調べ方はあるようですが、今も「氏」という考えをもとに住む場所を決め、その土地の神様を信仰している人は、昔に比べてかなり減っています。

だから気にしなくていいのではなく、各地には昔から大事にされてきた神様が祀られていることを知ること。
そして、自分が住んでいる場所の氏神様には、ご挨拶させていただくとが大事です。

各県にある神社庁に問い合わせると、自分が住んでいる場所の氏神神社を教えてくれることもあるそうです。

パワースポットに行きまくるより前に、自分の住んでいる土地を守ってくれている神様に、ご挨拶はしておきたいものですね。

生まれた土地とのご縁を持つ「産土神」(うぶすながみ)

次は、「産土神様」です。

産土神様は、氏神様と同じ土地を守る神様です。

しかし、氏神様と違うのは、土地に根付く神様ではなく、人に根付く神様であることです。

産土神様は、祖先あるいは自分が生まれた土地の神様が自分のことを一生守ってくれると考えられてきた産土信仰から生まれた神様です。

「産土」(うぶすな)の語源は、いろいろな諸説があるそうですが、妊婦が産小屋で立ち産をしたときに、赤ちゃんに砂が付いたところから生まれた言葉であるとも言われています。神社によっては、境内の浄にある砂をお守りの御神体として用いているところもあるそうなので、「砂」が信仰の中で、とても重要な役割を担っていたのかもしれません。

また、出産はとても神聖なことであり、人が生まれた場所に神様が宿るという考え方は、日本の信仰において、とても自然な考え方のようにも感じます。

皆さんは、自分の生まれた場所の神様に、お参りしたことはありますか?

産土神様にお参りすることで、自分の生まれた場所に思い入れを持ち、縁深い場所として意識するようになることで、自分を守ってくれる神様がここにもいらっしゃるのだと、何だか少しだけ強くなれる気がします。

一定の場所との縁を育てる「鎮守」(ちんじゅ)

最後に、「鎮守様」です。

氏神様が土地、産土神様が人に根付くのであれば、鎮守様は建物だと考えるとわかりやすいです。
建物と言ってしまえば簡単ですが、

要は、一定の場所を守護する神様と言ったほうが正しいのかもしれません。

建物のほかにも木や石など、古神道において神様が宿るといわれている神奈備(かむなび・かんなび)を鎮守様として祀っているところもあります。

また、 神奈備が鎮座する森のことを「鎮守の森」といい、鎮守の森は神社を守るため、まるで神社を囲むかのように配置されていることが多いです。

氏神様と違う点は、その土地を守る神様として信仰されている氏神様に対して、その土地に新しい何かが建てられた時、新しい何かを祀るために造られたものを守るのが鎮守様です。
それらの建造物に土地の神様が悪さをしないよう、さらに神様を祀ったことが、鎮守様の起源だといわれています。

その土地に鎮守様が祀られているということは、誰かがその土地を守るために手を尽くしてくれた証でもあります。

その土地に住む、或いは旅行でその土地を訪れた時、鎮守様の存在を感じるだけで、その土地とのご縁に感謝したくなるので不思議です。

氏神様・産土神様・鎮守様の違いを知ること

氏神様・産土神様・鎮守様についてご紹介してきましたが、現代では、その違いが曖昧になり、それらを総じて「氏神様」と呼んでしまっているところも多いようです。

実際に調査してみても、氏神様・産土神様・鎮守様が全て同じ神社だったというケースも珍しくないと思いますが、「じゃあ、違いなんてしらなくても大丈夫!」とはなりません。

大切なのは、参拝する私たちがその違いを知っておくことだと、「あん・はな」は考えます。

神様の気持ちになってみてください。
「何か、よくわからないけど、お参りしておこう」という人よりも、

「土地の神様、いつもここで安心に過ごせること、本当にありがとうございます」
「私が無事生まれ、今も元気で過ごせていることに感謝します」
「この土地に来て、楽しい体験ができました!ありがとうございます!」

などと言ってくれるほうが、絶対に嬉しいですよね。

この記事を書きながら、「だから、私たちは神社のこと、神様のことをまだまだ学ばなければいけないのだ」と、改めて考えさせられました。

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