【あん・はな神様図鑑】神様の誓約から生まれた宗像三女神

  • 2022/10/22
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神社をお参りすると、いろいろな神様に出会うことができます。
その神様たちは、一柱の神様として祀られていることもあれば、ある関連性を持って一緒に祀られていることもあります。

その関連性が、実は重要だったりします。
例えば、天照大御神・月読命・須佐之男命は、伊弉諾尊の禊から生まれた「三貴子」「三貴神」といわれます。

今回の神様図鑑は、そんな重要な関連性と役割を持った三柱の神様・宗像三女神をご紹介します。

狭い視野でも航海を導く「多紀理毘売命

宗像三女神は、天照大御神と須佐之男命の誓約(うけい)によって生まれた三柱の女神様です。
天照大御神が須佐之男命の十握剣をかみ砕き、吹いた息から生まれたとされています。
それらの女神様を、三姉妹として表現し、「宗像三女神」としています。

多紀理毘売命」「市杵島姫命」「多岐都比売命」は、文献によって姉妹の順番が違うようです。

その中でも長女といわれている多紀理毘売命(たぎりひめのみこと)は、『古事記』に記されている名前です。
『日本書記』には、田心姫(たごりひめ)と記されていて、宗像三女神を祀る神社の総本宮・宗像大社では「田心姫神」として、沖ノ島にある沖津宮に祀られています。

名前にある「紀理」は、「霧」を表すともいわれ、霧にまつわる神様であるという説があります。

元々、宗像三女神は、天照大御神の神勅を受け、九州から半島、さらに大陸へつながる海の道へ降りて、歴代の天皇をお助けするようにとの命を受けて降りてこられました。
その際、多紀理毘売命は、沖ノ島に降りたとされています。

そのため、航海・交通の安全を祈願する神様として信仰されてきました。

昔、日本から中国へと船で渡る「遣隋使」「遣唐使」という制度がありましたが、その際に多紀理毘売命を祀る沖ノ島を目印にしたとされています。

激しい流れの中でも幸せを掴む「多岐都比売命

次に、次女とも三女ともいわれている「多岐都比売命(たぎつひめのみこと)」です。

『古事記』には、多岐都比売命として記されていますが、『日本書記』には湍津姫命と記されています。

多岐都比売命も航海・交通の安全を守るようにと天照大御神の神勅を受け、この地に降りてきました。
その際に、大島にある中津宮に降りたのが多岐都比売命とされています。

多岐都比売命の名前の「多岐」は、「滾る(たぎる)」とされ、激しい流れを意味するとされています。
早瀬・急流を意味し、海の激しい流れから人々を救う女神として信仰されてきたという話もあります。

また、『古事記』では、多岐都比売命は大国主神(『先代旧事本紀』では大己貴神)の妻となり、八重事代主神と高照光姫命を生んだともいわれています。

神勅を受けながら、国つ神と結婚し子どもも生んでと、激しい環境の中でも幸せを掴んだ女神様でもあります。

水を司る絶世の美女「市寸島比売命

最後にご紹介するのは、「市杵島姫命」です。

『古事記』では市寸島比売命、『日本書記』では市杵嶋姫命と記されています。

市寸島比売命は絶世の美女として表現されることが多く、水の神様・海の神様としてだけではなく、商売繁盛や五穀豊穣、芸能、金運などのご利益を持つ神様としても信仰されています。
そのため、弁財天と同一視され、2つの神様が習合していることも多いです。

天照大御神の神勅を受け、田島にある辺津宮に降りたとされている市寸島比売命は、天孫降臨の際に邇邇芸命と一緒に養育係として降りてきたという説もあり、子守の神様、子どもの守護神として信仰されている一面もあります。

さらに、神道の大祓詞に登場する瀬織津姫と同一視されることもあります。
瀬織津姫は、水と深い関わりのある女神様。
水の神様として、さらに龍神との関わりも深いと考えられているようです。

宗像三女神に会いにいこう!

いつも「宗像三女神」として知られている三柱の女神様たち。

でも、それぞれに個性があり、物語があり、魅力があることを知れば、会いに行きたくなりますね。

神社には、「宗像三女神」として祀られていることもあれば、一柱の神様として祀られていることもあります。また、市杵島姫命のように弁財天や龍神として祀られていることも。

いろいろな場所で語り継がれてきた由緒を知り、どんな形で信仰されてきたかを知る。
それが、正しい神様との向き合い方であると「あん・はな」は考えています。

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