ちょっとの意識で参拝上級者を目指す①神社・お寺の「畳」のマナー
2020年に入って新型コロナウイルスの影響が出ています。
現在も、神社やお寺では、様々な対策がされていることだと思います。
今、一体何が正解なのかがわからないご時世ですが、こんな時だからこそ、一人ひとりの意識が重要になってくるのではないでしょうか。
そこで、今回は感染防止に限らず、神社やお寺に参拝する時にちょっとだけ意識してほしい、「あん・はな」的・参拝マナーをご紹介したいと思います。
ここで書いたことが、正解なのではありません。
ただ、参拝する際に、ちょっと気を付けていただくだけで、意識の高い、周りから「格好いい!」と思ってもらえるような参拝上級者を目指せるかもしれません(笑)!
神社やお寺に、素足で上がらない理由とは?
神社やお寺にちょっとお参りにいこうとした際、特に観光を目的とした参拝の場合などは、あまり服装にこだわることはないと思います。
実際、正装での参拝が好ましいとされる神社やお寺もあるようですが、普段はそこまで服装については厳しく言われることはないはずです。
しかし、1点だけ気を付けておきたいことがあります。
それは、神社やお寺を参拝・拝観する際に、靴を脱いで本殿や本堂に上がらせていただくことがあります。
その時、特に夏に多いのですが、
畳の上を素足で歩いている人をよく見かけます。
これは、神社仏閣に限らないことですが、自宅以外で「畳を素足で歩く」ことはマナー違反だとされてきました。
これは、畳に汚れや臭いが付かないようにするためだというのが大きい理由のようです。
特に、茶席では、畳は心身共に清浄、清潔であることが基本であると考えられていて、素足どころか、入る前に綺麗に洗った靴下や足袋に履き替えることもあるそうです。
神社やお寺も、神様・仏様の前という神聖な場所に行かせてもらうのですから、 心身共に清浄、清潔な状態を心掛けたいものです。
文化財の維持に努めている神社やお寺の畳に汚れや臭いを持ち込まないよう、靴下や足袋、ストッキングなどをはいておきましょう。
サンダルを履いている人も、靴下を一つ、鞄の中に入れておくと安心ですね。
神社やお寺では、スリッパに履き替えるところもありますが、やはりスリッパも誰かが素足で履いたものよりも、靴下を履いていてくれるほうが清潔で、安心ですよね。
このような行いは決め事ではなく、大人のマナーであり、他者を思いやる心だと思います。
畳には、歩いてはいけない場所がある?
畳には、「踏んではいけない」とされている場所があります。
それは、畳の「縁」(へり)です。
畳縁(たたみべり)は、昔から「親の頭」に例えられるほど、踏んではいけないものだとされてきました。
つまり、歩くときは、この畳縁の上を歩かないようにします。
もちろん、完全に踏まないのは難しいとしても、意識しているのとしていないのでは、大きく違います。
畳の縁を踏まないようにとなった理由は、いろいろ諸説があるようです。
しかし、その理由として有力なのは、やはり茶道の世界での考え方です。
畳の縁は、身分を表すものであり、それらが畳の素材や色・柄として細分化され、今に至るのだそうです。
畳縁には、いろいろな模様が使われていますよね。
特に、格式ある家では、畳の縁に家紋を入れることがあったそうで、それらを「紋縁」(もんべり)と呼びました。
今でも、文化財として指定されている建築などでは、この紋縁を見かけることがあります。
紋縁を踏むことは、その家の家紋を踏むのと同じことだと考えられてきました。
…と、難しい話をすればこのような理由になるのですが、
単純に畳縁を踏むことは、畳の端を踏むことで摩擦がかかり、形が変形したり、早く傷んでしまったりするといわれています。
畳縁を踏まないことは、畳が傷むのを防ぐための心遣いでもあるのです。
埃をたてない歩き方は、「すり足」!?
神社やお寺で意識したい畳のマナー。
最後は、畳の歩き方です。
畳は、歩き方によっては埃がたってしまうので、当たり前ですがドタバタと歩くのはやめましょう。
見た目も美しく、埃をたてない歩き方で一番いいのは、「すり足」だといわれています。
これは、茶道の世界では常識で、お茶やお菓子をこぼさないように歩くにはすり足が最適なのだと、私も茶道を習っていた時に教わりました。
また、お能の舞台を観たことがある方はわかるかもしれませんが、能楽師の方々はとても綺麗な「すり足」で舞台の上を歩きます。
能楽師の方が能舞台の上を歩く時も必ず足袋は着用していますが、これは舞台が神聖な場所であると考えられているからです。これも、神聖な場所で音と埃を立てずに歩く。そんな理由からなのかもしれません。
とはいえ、「さすがに、神社やお寺で、すり足で歩くのは…」と思う人もいるでしょう。
大丈夫です!とにかく、難しく考えず、静かに歩くというのが大事です。
そして、一緒に参拝した子どもがもしバタバタと畳の上を走っていたら、「子どもだから仕方がない」と思うのではなく、その場所がどのような場所なのかを教えてあげてください。
その経験が、自然に子ども達の人間性と社会性を磨いてくれるはずです。
難しく考えず、「思いやる心」が大切
今回は、神社・お寺の「畳」のマナーについてご紹介しました。
何度も言いますが、これが正解ではありません。
参拝・拝観の際は思いやりの心を持って、どのような振る舞いが最善なのかを考えることも大切だと、「あん・はな」は考えます。
しかし、これらは神社やお寺に関係なく、大人として、日本人として知っておきたいマナーだと思います。
今回、「あん・はな」では、神社やお寺の畳の心配だけをして、このような記事を書いたのではありません。
未来にしっかりと日本の文化を伝えていくためにも、日本には昔からそのような考え方があることを知っておいてほしいと思ったからです。
特に今は、ウイルスの感染防止などもあり衛生面に関して、神社やお寺の方々は、いろいろな工夫をしてくださっています。
神社やお寺は、神様の家・仏様の家でもあります。
他人様の家にお邪魔するのに、最低限のマナーを守るのは、やはり参拝者の務めではないでしょうか。
このシリーズも、また書いていけたらと思っています。