仏様の持ち物チェック②菩薩様
- 2022/10/18
- あんはな文庫
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お寺にお参りしていると、いろいろな仏像に出会うことができます。
美しい仏様の姿に魅せられ、心穏やかな時を過ごせる至福の時間です。
仏像を見ていると、仏様たちが何やら手に持っているのに気づきます。
それらを、「持物(じぶつ、じもつ)」といいます。
「そういえば、何か持っていたな…」と思っているだけじゃ、もったいない!
仏様たちが持つ持物を見ていくこの企画。今回は、菩薩様たちの持ち物をチェックしましょう!
歩きながら響かせる独特な音「錫杖」
最初にご紹介するのは、「錫杖(しゃくじょう)」です。
錫杖と言われてもピンとこないかもしれませんが、
「お地蔵様が持っている棒のようなもの」と言えば、ピンと来る方も多いのでは?
お地蔵さんも、地蔵菩薩です。
地蔵菩薩は、人々を救うためにこの世を巡り歩いているとされています。
その持物である錫杖は、鉄製の杖。
杖の先で地面を突くと、上部に付いている輪が連なっている部分がぶつかりあい、『シャリン』という音が鳴ります。この音が、悟りをひらくための覚悟の象徴であり、さらに悪を祓う音とされています。
また、地蔵菩薩は錫杖と一緒に、宝珠を持っていることも多いです。
人々のために歩き、悪を祓いながら、願いも叶えてくれる。
その慈悲深いお姿に、人は心を動かされてきたのかもしれません。
ちなみに、錫杖を持ったお坊さんを見かけたことはありませんか。
これは、修行中に音によって小動物や虫を追い払うことで、想定外の殺生をしないためなんだそうです。
悪を断ち切り豊かさを生み出す「宝剣」
仏様が持つ「宝剣(ほうけん)」は、煩悩を祓う力があるとされています。
宝剣を持つ菩薩様は、千住観音菩薩や馬頭観音菩薩など、観音様と呼ばれる仏様が持っていることが多いです。
その他にも、智慧を授けてくれるといわれている文殊菩薩(もんじゅぼさつ)も宝剣を持っています。
仏様が持つ宝剣は、敵を倒すためのものだけではありません。
煩悩を断ち切るために必要なのは、智慧であるという考え方があります。
智慧とは、真実を見抜くために必要な気づきの力のことです。
智慧があれば、どんな欲望や不安が襲い掛かってきても怖くありません。
その智慧を授けてくれる文殊菩薩様が宝剣を持っていることに、奥深さを感じます。
また、宝剣を持つ菩薩様として有名なのは、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)です。
福徳と智慧を虚空のごとく無限に持つ蔵する存在。
そのため、右手に智慧を表す宝剣を持っています。
豊かさを手に入れるために必要な智慧。智慧が、悪いものを断ち切ってくれる。
宝剣は、豊かさのシンボルそのものなのかもしれません。
願いを叶える智慧が詰まった「水瓶」
最後のご紹介するのは、「水瓶(すいびょう)」です。
水瓶の中には、「功徳水(くどくすい)」が入っているとされています。
功徳水とは、仏様に捧げる水のことです。
この水のことを、「閼伽(あか)」ともいいます。
中には、願いが叶う水「聖水」と表現する人もいます。
貴重な水が入った水瓶は、穢れを払い、欲望の熱を冷ますことで、願いを叶えることができるという教えを伝えるアイテムでもあります。
水瓶は、観音菩薩の持ち物として描かれることが多いです。
観音様は、水瓶だけを持っているときもあれば、水瓶に蓮の花を挿して持っている時もあります。
観音菩薩は、阿弥陀如来の脇侍としても有名ですが、
同じ阿弥陀如来様の脇侍である「勢至菩薩(せしぼさつ)」も水瓶を持っています。
勢至菩薩は、迷いと戦いの世界の苦しみを抜け出すために、智慧を授けてくれる救いの仏様です。
その智慧とは、もちろん阿弥陀様の智慧です。
観音菩薩との違いは、水瓶を手に持っている観音様と違い、勢至菩薩は頭の上に水瓶を乗せていることです。これで、観音菩薩と勢至菩薩を見極めることができます。
お寺で阿弥陀三尊を見つけた時は、一度両脇にいらっしゃる脇侍の存在にも注目してみてくださいね。
持ち物が分かれば、感謝の心も深くなる!
今回は、菩薩様が持つ持物をチェックしていきました。
仏様が持っている持物の役割や意味を知るだけで、仏様が私たちにどんな救いの手を差し伸べてくれているのかを感じ取ることができます。
また、日常生活の中でも、これらを持物をモチーフにしたアイテムを身に付けてみるのも、ちょっとした開運アクションになるかもしれません。
他にも、たくさんの持物があるので、またチェックしたいと思います。