仏様を身近に置き、祈りを捧げた「念持仏」

個人が持ち、朝夕と個人的に礼拝を行う仏像。

それを、「念持仏」(ねんじぶつ)といいます。

自分の念持仏を持っているという方は少ないと思いますが、最近では小さな仏像をご自宅に置いている人や、実際に自分で仏像を彫ってみたいという人も増えているようです。

念持仏は、「持仏」(じぶつ)と呼ばれることもあります。
他にも、枕元に置く「枕本尊」(まくらほんぞん)、
戦乱の中で陣中によって護持したという「陣仏」(じんぼとけ)、
旅行に携える「守本尊」(まもりほんぞん)、
さらに、僧侶が私的に礼拝する「内仏」(うちぼとけ)があったそうです。

そして、歴史上で名を残した人たちが持っていたことで有名になった念持仏もあります。

今回は、そんな歴史人が愛した念持仏を見ていきたいと思います。

天下人の出世を後押し!?「三面大黒天」

最初は、「三面大黒天」です。

こちらの仏様は、その名のとおり大黒様ではありますが、不思議なことに3つの顔を持っています。
正面は、大黒天の顔をしていますが、右顔は毘沙門天、左顔は弁財天の顔をしているのです。

この仏様を念持仏として持っていたのは、天下人・豊臣秀吉。

しかも、秀吉公がバンバン出世していた頃に、持っていたのがこの尊像なのだとか。

福の神として人気の大黒天、さらに勝負運を後押ししてくれる毘沙門天と教養の神様として信仰を集める弁財天が加わったスペシャルな仏様のお姿は、確かに勇気を与えてくれそうです。

揺ぎない心をサポートした「地蔵菩薩」

次の念持仏は、「地蔵菩薩」

この地蔵菩薩を、戦いの時に持ち運んでいたというのが、
本能寺の変で織田信長を討った明智光秀。

明智光秀さんが念持仏としていた地蔵菩薩は、桃山時代に制作されたものだったそうです。
そして、その右側には不動明王、左側には毘沙門天が立ち、その真ん中に小さな地蔵菩薩が安置されていました。

そこから、地蔵菩薩だけを持ち運び、陣中でも日々礼拝していたという言い伝えが残っています。

地蔵菩薩の大きさは、約18㎝。確かに小さくて、持ち運べてしまうサイズですね。

しかし、小さいお姿からは想像もできないほど、どっしりと構えたその様子はとても力強く、実直で真面目な性格だったという明智光秀さんの揺るぎない心を支えてくれていたのかもしれません。

幾多の危機から守った勝運の仏様「黒本尊阿弥陀如来」

最後は、黒いお姿をした「黒本尊阿弥陀如来」

この仏様を念持仏として持っていたことで有名なのが、江戸幕府・初代将軍の徳川家康。

家康公は、出陣の際は黒本尊阿弥陀如来と一緒に戦地に赴き、必勝を祈願したといわれています。
天下人と言われながらも、そこに至るまでに様々な苦労をしてきた家康公。
戦では、何度も命からがら生き延びたというような経験もしたことが、歴史として伝わっています。
幾多の危機を乗り越えられたのも、黒本尊阿弥陀如来のおかげかもしれませんね。

ちなみに、黒本尊阿弥陀如来は、その後徳川家はもちろん、多くの人が信仰する仏様となっていきます。
明治時代になり、旧幕府軍と新政府軍との戦いとなった戊辰戦争では、出陣した藩士が黒本尊阿弥陀如来の姿を刷った画像を、弾よけとして持っていたという話も。黒本尊阿弥陀如来が、勝運の仏様として広く信仰されていたことを知ることができるエピソードの1つです。

戦いの影に念持仏あり。そして、現代は?

ここで紹介した武将たちのみならず、昔は自分の念持仏を持つという風習が当たり前のようにあったようです。
実際、武将の他にも、天皇や貴族が持っていたことで有名な念持仏もあるので、またご紹介できればと思います。

今回は、戦乱の世を生き、数々の戦場に一緒に赴いた念持仏のお話でしたが、戦場に赴くということが日常ではない今、念持仏は必要ないのでしょうか?

先述したとおり、今、ご自宅に仏像を置く人も増えているようです。
しかし、仏像を購入し、ただ家に置いておくだけでは、念持仏とは言えないのかもしれません。
その仏様のことを理解し、しっかり朝夕と礼拝を行う。
それができて、初めて念持仏になるのだと、「あん・はな」は考えています。

戦いのためだけに念持仏があるわけではなく、
目の前の仏様と向き合い、祈る心を育てることで自分自身を強くする。

念持仏は、最高のサポーターになってくれるのではないでしょうか!

自分が心を開くことができる仏様に出会うためには、お寺に足を運び、たくさんの仏様に出会うことが大切だと、「あん・はな」は思います。
そして、数ある仏様と出会う中で、「これだ!」と思える仏像に出会えた時、それがあなたの念持仏となるのかもしれません。

さて、ここで紹介した念持仏は、今も各所で秘仏として安置されています。
普段は公開されていませんが、特別拝観などを実施しているお寺もあるので、気になる方はチェックしてみてくださいね!

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