ご利益だけじゃない!「あん・はな」神事記③「縁」にまつわる神様たち

  • 2022/10/19
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神社で神様に出会うと、思わず「何を叶えてくれる神様?」と言ってしまっていませんか?

神様のご神徳で願いを叶えてほしいと思うのは、夢があっていいことです。
でも、せっかくであれば、ご利益ではなく、神様の魅力を知ってからのほうが、神様も喜んでくださるのではないでしょうか。

もっと神様が好きになり、もっと神様に会いに行きたくなる「あん・はな」の『神事記』シリーズ。
今回は、恋愛はもちろん、人や物とのご縁をつなぐ「縁」に関するご利益をいただけると人気の神様たち、その中でも美しい女神様たちにスポットをあててみました。

ピンチがチャンスに!夫に救われた「クシダナヒメ」

まずご紹介するのは、「クシナダヒメ」です。

『古事記』では櫛名田比売、『日本書記』では奇稲田姫などと記されています。

クシナダヒメは、スサノオノミコトの妻となった女神様です。
八岐大蛇(やまたのおろち)に生贄として捧げられる予定だったところにスサノオノミコトが現れ、八岐大蛇を退治してもらうことができ、その後めでたく夫婦になります。

奇稲田姫という名前からも、クシナダヒメは稲田の神様としての神格を持つ豊かさの象徴のような女神様です。縁結びや夫婦和合のご利益を持つイメージが強いのは、結婚したことだけではなく、新居についても記紀に記されているからかもしれません。

夫婦となったスサノオノミコトとクシナダヒメは、新居を建てたといいます。
その新居があった場所だったと言い伝えがあるのが、島根県にある須賀神社です。

新居を建てたことを喜んだスサノオノミコトが詠んだ歌、
「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」はとても有名です。

乱暴者として高天原を追放されたスサノオノミコトが手に入れた、クシナダヒメとの豊かな時間。

まるで、金色に輝く稲穂を手に入れたような豊かさを感じるご縁。
稲田の神様から素敵なご縁にあやかれたらと、クシナダヒメに縁結びを願う人が多いのも納得です。

海のような広い心で幸せを掴んだ聖母「タマヨリヒメ」

次にご紹介するのは、タマヨリヒメです。

「玉依姫」とは、実は固有名詞ではなく、巫女的能力を持つ女性を意味する言葉だともいわれています。

ここで取り上げるのは、神話にも登場するタマヨリヒメ。
『古事記』では、玉依毘売と記されていて、初代天皇として語り継がれている神武天皇の母であるとされています。

タマヨリヒメは、海の神様であるワダツミの娘とされています。
そして、姉にはトヨタマヒメがいます。このトヨタマヒメと山幸彦の恋物語が、昔話の「浦島太郎」のモデルではないかともいわれています。

海の世界で出会った山幸彦とトヨタマヒメは、夫婦になります。
その後、山幸彦はワダツミの指示で地上に戻るのですが、山幸彦の子を宿したトヨタマヒメが、山幸彦を地上まで追ってきます。その後、トヨタマヒメは出産をするのですが、海の世界で暮らすトヨタマヒメが出産をする姿はサメ。その姿を山幸彦に見られてしまったトヨタマヒメは、ショックで子どもを残して海に戻ってしまいます。
しかし、どうしても夫と子どものことが忘れられず、トヨタマヒメは妹のタマヨリヒメを地上に行かせるのでした。

ここで驚くのは、地上に出てきたタマヨリヒメは、なんと自分の甥っ子であるトヨタマヒメの息子と結婚をします。そうして生まれた子の1人が、神武天皇となるのです。

家族のいざこざに巻き込まれ、大きな優しさで受け止めていたら、最終的には自分のご縁を結んでいた。天皇の母として、聖母として祀られるタマヨリヒメは、まさに縁結びを司る女神様だと思います。

美しさと強さで天孫を虜にした「コノハナサクヤヒメ」

最後にご紹介するのは、「コノハナサクヤヒメ」です。
コノハナサクヤヒメは、『古事記』では木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)と記されていて、本名は神阿多都比売(かむあたつひめ)であるという言い伝えがあります。
また、『日本書記』では木花開耶姫(このはなのさくやびめ)、本名を神吾田津姫(かみあたつひめ)、神吾田鹿葦津姫(かむあたかあしつひめ)といいます。

コノハナサクヤヒメは、日本でとても重要な女神様として信仰を集めています。
桜の神様としても知られ、富士山に関係する神社に祀られていることでも有名です。

コノハナサクヤヒメが重要な女神様として描かれているのは、天孫降臨伝説で有名なニニギノミコトの妻でもあるからです。

二二ギノミコトは、絶世の美女であるコノハナサクヤヒメに一目で心を奪われます。
2人はすぐに夫婦になりますが、、、なんと最初の一夜でコノハナサクヤヒメは子どもを宿します。
あまりの速さに驚いたニニギノミコトは、コノハナサクヤヒメの不貞を疑います。
ニニギノミコトの子どもであることを証明するため、コノハナサクヤヒメは産屋に火を放ち、そこで3柱の火の神様を生みます。
火の神様の母となったコノハナサクヤヒメは、災難除けのご利益を持つ神様としても信仰されてきたのです。

天孫に一目で気に入られた美しさと、災難から逃れることができるご利益。
まさに、恋をしている時に味方についてほしい女神様ですね。

恋に悩んだ時は、女神様に応援してもらおう!

今回ご紹介した縁結びのご利益を持つ女神様たちは、それぞれに個性的なラブエピソードがありました。

恋に悩んでいる時、なかなか思いどおりにならなくて苦しい時。
恋愛は、相手の気持ちもあることなので、全てが思い通りになるわけではありません。
実はそこが面白く、意味があるのかも…そんなことを教えてくれるのが、今回紹介した女神様たちかもしれません。

記紀に描かれた女神様たちの恋模様や生き様を思い出せば、何だか元気をもらえるような気がします。

結果よりも、全力で恋が楽しめかどうか。
そんな時、あなたのお気に入りの女神様に応援していただくのはいかがでしょうか?

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