仏教の未来について考える『未来のお坊さんの会』

  • 2022/12/29
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僧侶として、一人ひとりが高めあえる環境づくり
仏教の未来について考える『未来のお坊さんの会』

奈良県北葛城郡
真宗佛光寺派 正楽山心光寺 大山 賢亮氏

僧侶として、今から自分にできることを探していきたい

                    ※画像はイメージです。

奈良県北葛城郡にある真宗佛光寺派 正楽山心光寺。

ここで、新たな取り組みが始まろうとしている。

大学在学中から空き寺問題にも取り組み、独自の調査で研究発表をしたことがあるという心光寺の副住職・大山氏。卒業後、自身も僧侶として働きながら、空き寺問題解決に向けて試行錯誤を繰り返し、仏教の未来を考える『未来のお坊さんの会』の発足を決めたという。

大山氏「宗派や派閥を気にせず、これからの未来に向けて意見交換できる場になればと考えました。もちろん、人生経験が豊富なベテランの方からも意見をお伺いしたいと思っています。今回、若い僧侶だけで集まる会を発足したいと思ったのは、浄土真宗が大切にしている葬儀・法要において、ご遺族の方に寄り添い、長いお付き合いができる僧侶を一人でも増やしたいと思ったからです。この先10年、20年とご遺族と関係性を築いていけるのは、これからを担う若い世代の僧侶であり、私も含めて若い僧侶が成長できる機会と場所が必要だと思いました。」

浄土真宗のお寺で住職となるには、そのほとんどが世襲制だという。
そのため、現在住職として活動している多くの方は、60代、70代と高齢化しているのが現状だ。経験豊富なお坊さんは安心感がある一方で、今後も法要を頼み続けることができるのかという不安を感じるのは、葬儀・法要を依頼する側にとって重要なことである。最近は、葬儀だけの関係としてお寺との縁が切れてしまうケースが増えており、深刻な檀家不足はお寺を維持するための課題にもなっている。

大山氏「『未来のお坊さんの会』で募集しているのは、20代はもちろん30代、40代の僧侶です。仏教の教えを未来に残していくために、私たちに何ができるのかを、一緒に考えていきたいと思っています。若い住職が増えることで、ご先祖様を敬う供養や法要を通した仏教の教えについて、若い人にも興味を持っていただけるようになったらと思っています。」

遺族が満足できる葬儀・法要の仕組みづくりに挑戦

               ※画像はイメージです。

『未来のお坊さんの会』では、若い僧侶の教育・意見交換を行いながら、ご遺族に満足していただける葬儀・法要の仕組みづくりにも取り組んでいるという。
葬儀や法要は、亡くなった方のために執り行われるが、その根底にあるものは、見送る人たちの心を救うためのものでもあったはずだ。
葬儀が終われば、基本的には二七日・三七日・四七日・五七日・六七日・七七日(四十九日)と法要が続く。檀家であれば、そのお寺の住職に頼めばいいが、葬儀会社に葬儀を依頼した場合、その後の法要を誰に頼めばいいのかわからないという人も少なくない。

大山氏「私は、檀家様からの葬儀の依頼のほかに、葬儀会社からの依頼で葬儀に行くこともありますが、その際にご遺族から『法要もお願いできますか?』と頼まれることが多いです。僧侶は、葬儀を通して『このお坊さんに法要も頼みたい』と思っていただけるような葬儀を執り行なうことが大前提です。では、そのために何ができるのか。お経は、出来て当たり前です。ただ、その後の法話や振る舞いによって人間的な魅力を持つ僧侶であるかを、ご遺族の方は見ているのではないでしょうか。」

『未来のお坊さんの会』では、僧侶の教育と意見交換ができる環境を整え、一人ひとりが人間性も高めあえるような場にしたいと考えているという。

大山氏「『未来のお坊さんの会』では、ご遺族に『法要も頼みたい』『このお坊さんなら、他の方にもご紹介できる!』と思っていただけるよう、積極的に経験を積むことで、僧侶一人ひとりがさらに学びを深めていける機会を増やしたいと思っています。ご遺族に満足していただける葬儀を行うことが第一ですが、さらに加えさせていただけるとするならば、葬儀や法要は、私たち僧侶がさらに成長するための研鑽の場でもあり、実際に住職として活動したいと考えている法務員の経験の場にもなればと考えています。私自身も、家族と一緒にお寺を運営しておりますので、他のお寺で働く同性代の方と接する機会を増やし、様々な意見やアイデアを共有しながら切磋琢磨できる環境があればと思いました。
繰り返しになりますが、葬儀・法要に行く僧侶にとって必要なのは、それらの資格に加えて人間性だと思っています。相手に興味を持ち、しっかりと話を聞くことができるか、相手に話をする技術、人を惹きつける力も必要だと思います。実は、ここが資格を取るよりも難しいところであり、私たちが日々研鑽を積まなければいけない部分だと思っています。」

生きにくさを感じやすい今こそ「仏教」の教えを

               ※画像はイメージです。

浄土真宗の住職になるには、教師資格が必要だ。しかし、教師資格を持っていても、世襲制のために住職になれないケースもあると聞く。現在、住職不在のお寺も増えており、複数のお寺を一人の住職が兼務するケースも増えているそうだ。

大山氏「現実的な話になりますが、空き寺に入り、そこで住職として活動しても、生活できるだけの報酬がなければ、僧侶は生活ができません。空き寺に入る前に、法務員として誠実に葬儀・法要のお務めする中で、ご遺族から『このお坊さんと、今後もお付き合いがしたい』と思っていただくことができれば、お寺としてではなく、一人の僧侶として檀家さんを増やすことができると思います。その積み重ねが、安心して空き寺に入っていただける準備になるのではないかと考えています。将来的には、そのような方に、空き寺をご紹介する仕組みも構築していけたらと思っています。」

空き寺が減ることで、私たちの生活にも変化があるのかもしれない。例えば、葬儀・法要だけではなく、日頃から相談できるお坊さんが身近にいてくれることは、日々の安心感にも繋がる。

大山氏「お寺は、昔から精神的な救いの場として存在していたと思いますが、現代では、そこまでの距離感で、お寺と檀家様が接することは難しくなっています。その原因の一つとして、住職の高齢化もあると思います。どんな組織や企業でもあることだと思いますが、経営者と社員の年齢差、それによる価値観のギャップを埋めることは簡単ではありません。悩む若者が増えているという今だからこそ、若い住職が相談相手として存在するお寺が増えてもいいと、私は思っています。」

日本では高齢化出産も増えており、若くしてご家族との別れを経験し、急に「遺族」となった若者が慌てるケースも少なくないそうだ。

大山氏「深い悲しみの中で通夜や葬儀の準備をする。さらに、葬儀が終われば、そこから何度も法要があります。満足できるお見送りをしたい、供養がしたいと思うのであれば、これまで以上にご遺族とお寺がしっかり関係性を築いていくことが求められる時代が来ていると思います。そこから、お墓の問題や日常生活での悩み事まで、何かあれば気軽に相談していただける環境があれば、それが一番理想なのではないでしょうか。」

実際、「気軽にお寺に行ってものなのか」という疑問を持っている人も少なくない。その点について、お寺側はどう考えているのだろうか。

大山氏「私は、檀家様でなくても、もし気になるようであれば一度お寺にお問合せいただくのがいいかと思います。お寺によって、対応は違うと思います。特に浄土真宗は、お守りの授与や御朱印の対応といったことをしていないお寺が多いですが、それでも浄土真宗にできることがあると思っています。ある学者の方が、『本堂にいるだけでいいのが浄土真宗だと言っていました。その方の言葉を借りるとすれば、本堂にお越しいただき、自分自身を落ち着かせるためにも、心を一度休ませてみるだけでもいいと思います。相談をしていただいても、明確な答えは出せないかもしれませんが、気づきを与え、気持ちを切り替えていただくことができるかもしれないからです。住職が常駐できるお寺は、それができるんですね。生きにくさを感じやすい今だからこそ、もっと仏教を身近に感じてほしいです。」

仏教をもっと身近に感じることで、安心と心の豊かさを感じてほしい。そのためにも、空き寺問題を一つでも解消したい。その未来に向かって、『未来のお坊さんの会』が発足されたのだ。

大山氏「地道な活動になるかもしれませんが、檀家離れや空き寺問題の解消にも繋がると信じて活動をスタートしました。若い我々にできることがあるなら、全力で取り組んでいきたいと思っています。私は、お寺で生まれ、お寺で育ちました。お寺がなくなってしまうことは、本当に寂しいです。廃寺になったと聞くたびに、何かいい形で存続できることはないのかと考えてきましたが、正直その明確な答えは、まだ見つかっていません。だからこそ、僧侶同士で意見を交換し、切磋琢磨しながら成長を続けるためにも、一歩ずつ前に進んでいけたらと思っています。違う宗派の僧侶同士が集まって意見交換などができたら、新しい可能性が生まれるかもしれませんね。」

最後に、仏教の教えが救う未来について、若者へのメッセージを聞いてみた。

大山氏「悩むことは、悪いことではありません。そして、仏教の教えには、人生の困難を乗り越えるための方法がたくさんあります。その中から、正解を決めるのは、自分自身です。僧侶は、仏教の教えの中に、どのような考え方があるのかを説法として伝えるだけで、一方的に考えを押し付けるようなことをしてはいけないと考えています。結局は、一人ひとりがどんな経験をしたかによって、辿り着く正解が違うからです。そして、相手に経験を求める僧侶が、経験不足では話になりません。そのためにも、我々も若いうちから行動していきたいと考えています。

僧侶が手を組み、道を拓いていくことで、こんなお坊さんたちがいるのだと世間の方にも知っていただき、少しでも若い世代の方が仏教に興味を持っていただけたらと思っています。」

『未来のお坊さんの会』にご興味のある方は、下記にお問い合わせください。

お問合せ:真宗佛光寺派 正楽山心光寺 担当:大山 賢亮氏
Mail:kento828@icloud.com

正楽山 心光寺(しょうらくざん しんこうじ)

宗派真宗佛光寺派
ご本尊阿弥陀如来
所在地奈良県北葛城郡広陵町大字古寺370番地
HPhttps://dev-bridge.jp/shinkouji/
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